「まあまあ、こっち来いよ、杏子ちゃん」
すると、永倉さんは私の手をグイッと引っ張って、部屋の中に引き入れた。
「皆、杏子ちゃんに元気になって欲しくて、それぞれ甘味を買ってきたんだ。
食ってくれるか?」
目の前にある、沢山の甘い物。
それを見て、私はなんだかおかしくなって、フフッと笑ってしまった。
「ありがとうございます、みなさん。
だけど、私1人じゃこんなに食べきれないかもしれないので、一緒に食べてもらえますか?」
「まじで?!いいの?」
嬉しそうな平助くんを見て、私はコクンと頷いた。
「杏子ちゃんがそう言うなら、遠慮なく」
そう言って、1番に手を伸ばしたのは総司。
「総司!おめえ、さっきも甘いもん食ったんだろ?
程ほどにしねえと、夕餉が入らなくなるぞ!」
「大丈夫ですよ、土方さん。
甘味は別腹ですから」
美味しそうにお団子を頬張る総司を見て、土方さんはため息をついた。
「杏子くん、皆が君の為に買ってきてくれたんだ。
遠慮せずに食べてくれ」
「はい、ありがとうございます!」
近藤さんの言葉に、私は大きく頷いた。
なんとなく斎藤さんの方を見てみると、彼も丁度こちらを向いたところで、私達は顔を見合わせて笑った。
もう大丈夫、何も怖がることはない。
ここが、私の帰る場所だって、やっと分かったから。