天狗娘は幕末剣士



「す、すまない!

 だが、その……分からなかったというのは、悪い意味ではなく……

 見違えた、といかだな……えと、つまり……」




「あーあ、杏子ちゃん、かわいそー」




総司が、からかうように言うと、斎藤さんはグッと黙ってしまった。




「それじゃあ、僕もう行くね。

 斎藤くん、杏子ちゃんをよろしく」




ヒラヒラと手を振りながら、総司はその場から居なくなった。




取り残された私と斎藤さんは、しばらく何も話さなかった。




「……杏子」




「はい」




「その……本当にすまない。

 お前だと、気付けなくて……」




「気にしないでください。

 少しショックでしたけど……

 斎藤さんに、こんな姿を見せるのは初めてですから、気付かなくても仕方ありませんよ」




ニコッと笑うと、斎藤さんは少しだけ目を見開いて、それからすぐにフッと微笑んだ。




「……斎藤さん?どうかしました?」




「いや……笑えるようになったのか」




「え?」