天狗娘は幕末剣士



甘味処から出て、屯所に着いた頃には、辺りはすっかり茜色に染まっていた。




「総司、今日はありがとう」




「どういたしまして、僕も楽しかったよ」




そんな言葉を交わしながら、私達は顔を見合わせて笑った。




ああ、やっぱり総司は優しいな。




それに、彼の隣はとても頼もしい。




「さてと、それじゃあ僕は土方さんに巡察の報告に行くね。

 杏子ちゃんも着替えちゃいなよ」




「え?」




「残念だけど、その格好じゃ屯所の中あんまり動き回れないでしょ?」




あ、そうだった。




私、今は女の子の格好してたんだ。




「そうだね、すぐ着替えてくる」




そう言って、私が総司と別れようとすると、誰かが向こうから歩いてきた。




「沖田、ようやく帰って来たか」




「あれ、斎藤くんじゃない」