天狗娘は幕末剣士



私は俯いて、着物の裾をギュッと握り締めた。




「……ねえ、杏子ちゃん、顔上げて?」




総司にそう言われ、私は恐る恐る顔を上げた。




「杏子ちゃん、僕のこと嫌い?」




「え?ううん、嫌いじゃないよ」




「僕、新選組で1番人を殺してるんだけど、それでも嫌いじゃない?」




「うん、嫌いじゃないよ」




今更、何を言ってるんだろう、総司。




そう思って、首を傾げていると、総司はニッコリ笑った。




「僕も同じだよ」




「え……」




「僕、杏子ちゃんの事、バケモノだなんて、ぜーんぜん思ったことないし。

 かわいいかわいい杏子ちゃんを嫌いになるなんて、ありえないよ」




「……ホントに?嘘なら、本当のこと言って?」




「嘘じゃないよ、僕、杏子ちゃんのこと大好きだもん」




即答した総司の言葉が、じんわりと心に染みる。