「杏子」
「はい」
「余計な世話だったら、申し訳ないが……
風狸を殺したのはお前ではない、俺はちゃんと見ていた」
「え……」
「とどめを刺したのは白竜だ。
お前ではない、絶対に。
だから、あまり自分を責めすぎるなよ」
それだけ言って、斎藤さんは部屋を出た。
その姿を見送って、私はゆっくりと体を起こした。
確かに、風狸さんにとどめを刺したのは、白竜さんだ。
私は、手を添えていただけ。
でもね、斎藤さん。
私、途中までは確実に殺意があったんです。
あなたが止めてくれるまで、私は風狸さんを殺そうとしていた。
この手で、確かに……
私は、自分の手に目線を落とした。
「……私にも、ちゃんともののけの血が流れているんです、斎藤さん……」


