天狗娘は幕末剣士



「大丈夫だ、俺達はいなくならない。

 ちゃんと、お前の傍にいる」




「はい……」




温かくて、大きな斎藤さんの手。




その手が、さっきまでの恐怖と寂しさを、少しずつ取り払ってくれた。




だけど、それでも、胸に何かがつっかえているような、もやもやした気持ちは残っていた。




「さて、お前も起きたことだし、俺は1度土方さんの所に行って来る。

 まだ巡察の報告をしていないんだ」




「え、もしかして、斎藤さんずっとここにいてくれたんですか?」




すると、斎藤さんは少し顔を赤らめ、照れた様に目を逸らした。




「……心配、だったからな」




その表情と言葉を聞いた途端、キューッと胸が苦しくなった。




でも、締め付けられている感じがするのに、不思議と嫌な苦しさではなかった。




「では、俺は行くが、お前はまだ寝ていろ。

 いいな」




「はい、分かりました」




そう言って、斎藤さんは立ち上がった。




そして、障子に手を掛けたところで、もう1度私の方に振り返った。