天狗娘は幕末剣士






「…んず、おい杏子」




名前を呼ばれ、目を開けると、斎藤さんが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。




「さいとうさん……」




「大丈夫か、だいぶ魘されていたぞ」




「え……」




周りを見てみると、そこは私の部屋で、体は布団に横たわっていた。




あ、そっか、さっきのは夢だったんだ……




ぼぅっと天井を見ていると、ふいに斎藤さんの手が伸びてきた。




「どんな夢を見ていたんだ?」




「え?」




「……涙が出るほど、嫌な夢だったのか?」




そう言って、斎藤さんは私の目元を優しく拭ってくれた。




ええ、それはそれは、とっても嫌な夢でしたよ、斎藤さん。




怖くて、寂しくて、不安になるような夢……




「……斎藤さん達が、いなくなってしまう夢を見ました」




「……そうか」




すると、斎藤さんは優しく私の頭を撫でてくれた。