天狗娘は幕末剣士



そして再び、白竜は2人へ目を向けた。




俺も続いて彼らに顔を向けると、そこには翼を広げ、風狸を見下ろす杏子の姿があった。




その姿を見て、俺は何故か嫌な予感がした。




「ぜえっ……ぜえっ……わ、悪かった……俺が悪かったから……命だけはっ……!」




呼吸もままならないまま、風狸が命乞いをする。




だが、杏子は少しも表情を変えず、小太刀を風狸に向けた。




「お、おい……やめろ……やめてくれ……!」




「……殺す」




そう言って、杏子は小太刀を振り上げた。




「っやめろ!杏子!!」




俺が咄嗟に叫ぶと、杏子の動きがピタリと止まった。




そして、すぐに俺の方へ振り向いた。




「斎、藤さん……?」




「それ以上は、やめるんだ杏子」




「え……?」




頭に疑問符を浮かべながら、杏子はゆっくりと顔を元の位置に戻した。