天狗娘は幕末剣士



「う……うわああああ!!」




風狸は真っ直ぐに地面に落ちていき、体を強く打ち付けた。




「かはっ……!」




それだけでは終わらず、杏子は自由に風を操り、風狸を次々と木に叩き付けていった。




「お前らは風を起こすことは出来ても、元々起きている風を止めることは出来ないはずだ。

 天狗と俺達竜は、風の有無、風向き、風力、全てを操ることが出来る。

 お前と杏子では、そもそもの差がありすぎるんだ」




淡々と、そう告げる白竜。




それにしても、今俺の目の前で繰り広げられている、この光景はなんだ……?




先程までとはまるで逆で、今度は杏子が風狸を痛めつけていた。




……これが、杏子の本気なのか……




「この勝負、遠野杏子の勝ちだな」




「なに?」




「このままいけば、風狸は死ぬ」




「……杏子が、あの風狸を殺すというのか」




「ああ、そうだ。

 あいつも、もののけだからな。

 1度殺すと決めたら、何の躊躇いもなく殺すだろう。

 そして、そのことに心を痛めることもない」