それと同時に、私の脳裏に里での出来事が蘇る。




炎に包まれた故郷。




至る所で血しぶきが上がり、響き渡る断末魔。




そして、目の前で動かなくなった、母の姿……




最悪の光景が、次々と鮮明に浮かんでくる。




そのたびに、ドクンッドクンッと心臓が大きく脈打った。




「あなたが……あなたが……お母さんをっ……!!」




嘲笑うように、私を見下ろす風狸さん。




その顔を見たら、私の中で何かがプツンッと切れた気がした。




「うわあああああ!!」




叫び声と共に、バサバサッと翼が大きく広がる。




体中の血液は、煮えたぎっている様に熱い。




「はぁっ……はぁっ……」




「おーおー、ムキになりやがって。

 俺が憎いか、え?遠野杏子」










「……殺す」