その日の晩……
「いいなー、俺も見たかったなー、杏子の隊服」
「あはは……」
頭の後ろで手を組んだ平助くんが頬を膨らませる。
そんな彼に、私は苦笑い。
今夜は、三番組と八番組が巡察の当番だった。
私は、2人の組長に挟まれながら、京の町を歩いていた。
「なあ、杏子。
どうして今夜は隊服着て来なかったの?
俺らは羽織り着てるのに」
「それは、えっと……」
「俺が止めたんだ」
私と平助くんの会話に口を挟んだのは斎藤さん。
そう、今夜隊服を着て行こうとしたら斎藤さんに止められてしまったのだ。
「えー、なんでだよ一くん。
どうして止めちゃったんだよ」
「男だらけの巡察で、あの隊服は目立つと思ったからだ」
いや、確かにあの隊服は可愛らしくて、ここじゃ目立つかもしれないけど……
「ちぇっ、残念だなー……」
淡々と答えた斎藤さんに、平助くんはなんだか不満げ。


