「わあ、久しぶり!大きくなったね!」
「知り合いなのか、沖田」
「まあね」
沖田総司、それが彼の名前。
4つ年上のお兄さんだけど、お兄さんというよりかは友達のような存在。
色黒で美丈夫なのは昔から変わってないし、いたずらっ子みたいな笑顔も変わってなかった。
「試衛館で、僕達の手伝いをしてくれてた子なんだ」
試衛館というのは、総司達が京に来る前に、江戸で近藤勇さんという人が、切り盛りしていた天然理心流の道場のこと。
総司は、そこの内弟子だった。
私は、14の時までそこのお手伝いをしていた。
「俺は、こんな娘は知らないぞ」
「斎藤くんが試衛館に来る前に、杏子ちゃん故郷に帰っちゃったからね。
あれから4年かあ、早いねえ」
ん?あれ?
今、斎藤さん、サラッと軽く私の事「娘」って言った……?
「え、あの、斎藤さん……私が女だって気付いてたんですか……?」
「ああ、すぐに分かったぞ」
「えええっ?!」
うそ……すぐバレた……
結構、自信あったんだけどな、この男装……
「ね、杏子ちゃん、せっかくだから近藤さん達にも会っていきなよ」
「え、いいの?!」
「うん、案内してあげる」
「ありがとう!」
「斎藤くんも、一緒に行こう?」
「ああ」