天狗娘は幕末剣士




お梅さんと分かれてから、瞬く間に時間が過ぎていき、気がつけば周りは真っ暗になっていた。




夕方からは小雨が降り出し、今はザーザーと音を立てている。




そんな中、幹部の皆は広間に集められていた。




「いいか、絶対に失敗は許されねえ。

 何が何でも、殺るぞ」




いつもに増して眉間に皺を寄せる土方さん。




その言葉に、全員が頷いた。




私は、俯いてしまっていたけど……




「杏子」




すると、斎藤さんが声を潜めて私に話しかけてきた。




「なんでしょうか」




「……お梅さんは上手く逃がせたのか?」




「っ……いえ、駄目でした」




「そうか……」




それだけ言うと、斉藤さんは黙ってしまった。




私も、何も言えなくなってしまった。




暫く、お互い何も言えずに向かい合ったままでいると、山崎さんに声を掛けられた。




「杏子くん、そろそろ行くぞ」




「あ、はい!」




私は斎藤さんに軽く頭を下げて、その場を後にした。