翌日、その日は朝から雲行きが怪しく、薄暗かった。
嫌な空だな……
そんな事を思いながら、私は朝餉を食べ終えてすぐに八木邸へ向かった。
「すみません、どなたかいらっしゃいませんか?」
玄関でそう叫ぶと、すぐに男の人が出て来た。
「おや、どちらさんでしょうか」
「遠野杏子といいます。
あの、お梅さんはいらっしゃいますか」
「ええ、いらしてますよ。
お梅さん、ちょっと来て下さい!」
すると、すぐに女の人がやって来た。
「はい、なんでしょう」
「あなたにお客さんですよ」
彼女がお梅さんか……
芹沢さんの言ってた通り、綺麗な人だなぁ……
私がみとれていると、お梅さんはニコッと笑った。