「子供達の方は、なんとかなるだろう。

 問題なのは、お梅さんの方だ。

 彼女は明日も八木邸に来ることになっている。

 もし、夜まで芹沢さんと一緒にいるところを見てしまったら……

 俺達は、彼女まで斬らなくてはいけなくなるだろうな」




斎藤さんの言葉に、胸が苦しくなって何も言えなくなる。




お梅さんまで、殺されてしまうなんて……




「……どうしても、お梅さんを斬らなくてはいけないんですか?」




「見てしまえば、な。

 そうならないように、芹沢さんはお前に伝言を頼んだのだろう」




「え?」




キョトンとしている私に、斎藤さんは何か企んでいるように笑った。




「“絶対に部屋にいれるな”と、そう伝えるように頼まれたんだろう?」




「あ……!」




ようやく、私も気付いた。




部屋に入れるな、そう言って芹沢さんはお梅さんを近づけないようにしたんだ。




あわよくば、彼女を逃がせると思って……




「もう、時間がない。

 頼んだぞ、杏子。

 俺達だって、彼女の命は奪いたくない」




「はい」




芹沢さんの思い、絶対に無駄にしない。




彼女は、死なせない……