「……そうか」
「あの、斎藤さん、ここはどこですか?」
「京都守護職松平肥後守御預、新選組の屯所だ」
「え……!」
新選組の屯所……
黒船が日本にやって来てから、幕府に対して反感を抱く倒幕志士の浪士や、不逞浪士が増え、京の治安が悪化した。
そのため、浪士で構成された新選組という組織が、その浪士達を取り締まり、治安を守るようになっていた。
私の知り合いも、何人か所属しているらしい。
ということは、ここにあの人達が……
「あ、起きたんだね」
すると、障子の脇から、ひょっこりと誰かが顔を出した。
「沖田、どうした」
「別に。
杏子ちゃんの様子を見に来ただけだよ」
「え……」
どうしてこの人、私の名前を知ってるの……?
ポカンとしていると、彼はニッコリ笑って、こう言った。
「久しぶり、杏子ちゃん」
「あ……」
彼の笑顔を見て、私はやっと気付いた。
「もしかして……総司?」
「うん」
頷いた彼を見たら、私は嬉しくなって自然と笑みが零れた。