人里離れた、山の中。
そこにある、小さな里。
そこが、私の故郷。
緑に囲まれ、上を見上げれば、見渡す限りの青空。
里にはいつも、穏やかな時間が流れていた。
だけど、今日は違った。
里は炎に包まれ、人々の叫び声が響き渡る。
「杏子(あんず)、こっちよ!」
私はお母さんと共に、里の中を逃げていた。
「きゃあああ!!」
「っ!?」
後ろを振り返ると、1組の親子が斬り殺されていた。
子供は、まだ赤ちゃんだった。
そんな……あんな幼い子まで……
至る所で血しぶきが上がり、断末魔が聞こえてくる。
刀を返り血で汚しているのは、もののけ達。
彼らが、里をこんな風にしてしまったのだ。
「見つけたぞ、遠野……」
すると、私達の前に1匹のもののけが現れた。