「それじゃあ…私行くね……。」

涙をこらえて、いま目の前にいる“親友"にそう言った。

「うん…じゃあ、ね…。」

その言葉を聞いて、一気に胸が苦しくなった。それと同時に涙が滝のように溢れて出てきた。しゃっくりも止まらない。

「ありが、とう…!今まで…ありがとう…元気、でね…。」

「うん…ありがとう…佳奈…」
名前を呼ばれたことでより一層胸が苦しくなる。
もう泣き顔なんて見られたくないから、急いで親が待っていた車に乗り込んだ。

「ありがとう!!ホントにありがとう!━━!!」

窓をあけて、精一杯の笑顔でありがとうを言った。私が、友達の名前を言った瞬間、友達も泣いた。でも、笑顔だ。いつもの笑顔。




「「ありがとう」」





その言葉が、私にとって特別になった瞬間であった。