洋平も亜紀もバイトと学業の両立で、なかなか二人きりになれる時間は少なかった。

旅行に行ったり、遊園地に行ったりと世のカップルと同じ様には過ごせてはいなかったが、それでも二人は確実に絆を深めていった。

平凡な亜紀が掴んだ平凡な幸せ。決して裕福などではなかったが、亜紀の生活は華やいでいた。

しかし…

そんな平凡な幸せをぶち壊す悪魔が突如、二人の目の前に現れた。

悪魔の名前は香奈子。洋平と同じ大学に通う一つ年上の女性だ。

実家が資産家であるらしく、いつもブランドもので身を固めている。

周囲の人間の評判も悪く、強烈な香水の香りを振り撒きながら歩く姿は下品にさえ見えた。

そんな香奈子が二人のバイト先であるレストランに客として現れた。

20代前半くらあの男性を3人引き連れて現れた姿はまるで女王のようだった。