檜山の突飛な質問に呆気に取られていた木村君だったが、はっと我に返り、

「面白いから…」

と囁くような声で答えた。

「そうか。じゃあ君は面白かったら、人も殺すのか?」

淡々と質問をつづける檜山。

「何言ってんすか?人殺して面白いわけないじゃないっすか。」

木村君は呆れ顔で答えた。
発想が極端過ぎると誰もが思った。
檜山の軽い冗談に聞こえた人も中にはいただろう。

しかし檜山の表情はいたって真剣だった。

目の前に現れた未知の存在に、木村君は徐々に追いつめられていく自分を感じていた。

特に責められているわけでもなく、ただ淡々と質問をしてくる檜山、それに答える木村君。

この一連の流れが終業のチャイムが流れるまで続いた。
質問の内容は至ってシンプルなものばかりであったにも関わらず、終業後の木村君は誰が見ても明らかに疲弊しきっていた。

その翌日から吉田君に対するイジメがなくなった…