case3-高校教師

《夢や希望に満ち溢れた場所、それが私の職場だ…》

そう思いながら彼は過ごしてきた。

いじめ、体罰、不祥事。様々な問題が日毎に報道される昨今。しかし、それでも学校は彼にとって尊い場所であった。

都会の名門校も田舎のヤンキー高校も、彼にとっては等しく素晴らしい場所。

彼の名前は皆川昌平(みながわしょうへい)。
都内にある公立高校の社会科教師。
年齢は30歳。25で教師になったので教員歴は5年になる。

昌平にとって教師という職業は誇りだった。

周囲の人間は、

「高校の先生なんて、大変だよなぁ…」
「ある意味一番大変な仕事なんじゃない?」

と、口を揃えて哀れんでくる。

しかしながら、昌平にはそんな周囲の考えは理解できなかった。