case1-高校生


《なんで、こんなことになったんだろう…》
そう思いながら少年は、真夜中の住宅街を歩いている。

時計の針は午前0時を指していた。
周りに人影はなく、不規則な間隔で置かれた街灯の明かりだけが、少年の歩く道を照らいた。

《なんで…》
そう何度も心で呟きながら、少年はひたすら歩き続ける。

季節はもうすぐ冬、吐く息は白く、時より吹き付ける風邪は少年の身も心も冷たくする。

誰もいない夜道を歩いているうちに世界に独りきりになった錯覚に陥る。

遠くの方でまばらに点在している家の灯りは少年の心の孤独感を増幅させる。

寒さと寂しさに耐えながら、少年は目的地へと急ぐ。

お気に入りの腕時計が午前0時15分を指した頃、少年は目的地にたどり着いた。