幼なじみの彼と彼女

「梓、どうするの?」

27日。

球場では異様な盛り上がりをみせていた。

また、梓の高校が勝ってベスト4にまで残った。

明日、準決勝。



でも、祥太郎も明日は決勝。



「…明日は祥ちゃんの応援に行くよ」

心配する紀香にそう言うと紀香も少し安堵の表情を見せた。



祥太郎との約束は破れないから。

初の8耐だし。

祥太郎が出ている大会は、世界大会だから。



「ベスト4、おめでとう」

球場から出る時、ちょうど野球部のメンバーも出てきたので梓と紀香は声をかけた。

「ありがとう」

日に日に成長していく武紀はいい表情を浮かべていた。

「…ごめん、明日は用事があって行けない」

梓が謝ると武紀の表情が曇る。

「…なんで?」

「彼氏も今、大変なの」

それ以上は言わなかった。

別に祥太郎が何をしているかなんて、説明する必要はない。

「じゃあ、明日も頑張って!」

梓はそう言って紀香と共に球場を後にした。