「布施くんこそ、こんな所でどうしたの?」

「買い物。
今日は部活も休みだし、久々に一人で、と思って。
良かったらそこでお茶しない?」

武紀が指さしたのはファーストフード店。

歩き疲れていた梓は頷いた。



「彼氏は?」

武紀は遠慮もなしに聞く。

「今週末に開幕戦があるから忙しいみたい。
それに、私達はそんなに一緒に出掛けたりとかはないから」

「へえー、そうなんだ」

武紀は意外そうに言う。

「うん、そう、今は余計に大変だから…」

梓は昨日の事が脳裏に蘇り、また涙を浮かべた。

「だ…大丈夫?」

武紀はそれを見て慌てる。

「どうしたの?」

そう言って鞄からタオルを取り出して梓に渡した。