幼なじみの彼と彼女

灼熱地獄な上にレーシングスーツは本当に過酷。

1時間走行した祥太郎は肩で息をしていた。

苦しそうな表情を見せる祥太郎。

声をかけるにもかけられない。

ただ、見つめるしかない。



「…大丈夫?」

祥太郎が走行中。

総一が梓に声をかけた。

「はい…」

梓は総一が苦手だ。

冷静でいつも感情が読めないから、どう接していいのかわからない。

「暑いからあまり無理しないでね」

総一は微笑んだ。

自分の方が暑いはずなのに。

淡々としていた。

多分、自分の想像以上に総一は凄い人なんだろう。

梓はこの世界をほとんど知らないからよくわからないけど、普通は自分の事で精一杯だからそんな事は言えないと思う。

そんな総一を尊敬して慕っている祥太郎。

今はまだまだでもきっといつかは。

世界の舞台に出ていくのだろう。

この日、一日中、祥太郎の姿を見ていたけど。

何だか凄く遠い存在になってしまっている気がした。