「…にぃ…たくにぃ…拓にぃ」

「ん?」

「どうしたの?ぼーっとして」

「いやっ、大丈夫」


その時……

プルルルプルルル

誰かの携帯が鳴った


「はい、成瀬です」


兄貴の電話だったらしい


「はい、わかりました。

では、失礼します」

「どうしたの?」

と叶人が聞くと

「俺、病院戻るから、じゃあな」


と、兄貴は帰って言った

俺とは一言も話さずに


あいつは、いつもそうだ。

俺らがまだ小学生の時だって……