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あれから30分。
すっかり準備のできたあたしは、玄関で空斗を待っていた。
「お~い空斗?」
「ちょっと待って!…あった!」
それからしばらくして、空斗が持ってきたものは
「インスタントカメラ?」
「そっ、夏の思い出。俺ら来年は高校生で、別々になるじゃん?
だから今のうちに、お前との思い出残しとく。」
思い出…
あたしは何も言えなかった。
空斗の言葉は、嬉しかったけど悲しかったから。
『高校生になったら、遊べなくなるの?会えなくなるの?』
―さみしい。
普段なら簡単に言える言葉が、今は言えなくて。
早く笑わなきゃ。
『そうだね』
って
言わなきゃなのに。

