意識が浮上し目を開けるといつもの天井が目に入る。
白い汚れのない天井。
体を起こしあくびを一つ。
眠い…。
立ち上がり窓を開けると空は泣いていた。
「ハロ」
ザーザーと雑音のように響く雨音
そんな中、呟いた私の挨拶なんて誰の耳に届くはずもなかった。
一人暮らしの小さくて静かな誰もいない私だけの世界。
それは、時には幸せな場所にもなるし、辛い場所にもなる。
今はどちらかと言うと辛い時間かもしれない。
誰か、私の背中のネジを巻いてよ…。
まぁ、そんなものないけどね?
そういえば昔のアニメにそんなのいたっけ。
ロボットの形をした変なキャラが…
なんか懐かしいなぁ、可愛かったし、みんなに愛されてたし。
……。バカなこと考えてないで会社に行く支度をしないと。
無理にでも笑顔を作って表情を変えないと、
きっとできてあるであろう涙の筋を隠すために。
まぁ、誰も何にも聞いてこないからいいんだけど。
別に涙の筋がばれてもいいし、
昨日、言われたことも別にいい。
これは全部「まぁ、いっか」っていう私の口癖で済んじゃうことで…
自分が気にしてるほど周りは自分を見ていない。
そんなどうでもいい考えを巡らしていると突如、昨日のことが頭をよぎった。
『君にはもう期待しないから』
うん。まぁ、自分が何か大きいことができるとは思ってない。
でもね。じゃあさ、
私が入社したときのあれは何だったの?
…一番、不思議なのは期待してないって言われた時に私の口をついて出た
『すいません。次こそはちゃんと社長を驚かすような物を考えますから』
って言葉。
嘘?本当?どっちですか?
一体みんな私に何を期待してるの?
なんで私も応えようとしてるの?
私、生きてくだけで精一杯なんだよ?
なのになんで応えようと大切な言葉を浪費していくの?
頭痛が酷くなる。考えるのが面倒臭い。
もう、理由をつけて会社、休もうか。
…ごめんなさい。嘘です。だからそんなに怒らないでよ?
だって私には会社をズル休みをする勇気なんて無いし。社長と話したく無いし。

「あー…。支度しよ」

そう呟き、重い腰を上げ部屋を出た。