「 おーい、一緒に帰ろうよ! 」
ニイっと歯を出して笑う、あいつの笑顔が好き。
「 相変わらず、意地悪だなー 」
気に入らなそうに頬を膨らます、あいつの膨れっ面は可愛い。
でも、
「 好き、だよ。あの人のこと 」
遠くを見つめて、少し赤くなる、あいつの恋する乙女らしい表情は、嫌い。
その視線の先にいるのが、俺じゃないから。
あと1日、1時間、1分早く、
「 あいつが好きだ 」
そう、自覚するのが早かったら。
現在は、変わっていたんだろうか。
「 要らない 」
あいつの好きなあの人は、そう言いながら1つの花を差し出した。
その花の名は、スノーフレーク。
花言葉は、
ーーー「 お前には、俺がいるじゃん 」
けがれのない、無垢な心。