初めてのキスは、涙の味がした。



2度目のキスは、優しい味がした。



3度目のキスは、甘い味がした。



4度目のキスは、最期の予感がした。




「 傍に居てやれなくて、ごめん 」




震えた字。そこに、いつもの美しさは無くて。



白い布の掛かった顔。その向こうの表情は、見る気になれなかった。



左手の指輪をそっと外して、箱にしまい込む。



遠くに居ても変わらぬ、私の愛を届けてと。



黒い箱はジリジリと、灰に変わる。



彼の魂を、私の想いごと連れていくためと。




「 さようなら 」




漆黒の大理石の横に、1つの花。



薄紫色の、1つの花。



その名は、キキョウ。



花言葉は、




ーーー「 ずっと、愛してるよ 」




変わらぬ愛。