満月の夜は、ご注意ください。




「吸血されたくないって言ったのになんでするのかなぁ……?!」



ブツブツと文句を言いながら部屋へ入っていく。


カバンから教科書にノート、ペンケースを出して机に並べる。



いきなり威圧して吸血?!


変態としか言いようが無いでしょ!


さっきまた吸血しにくるとか言ってた……


家入ってきたら警察呼ぼう……。




そんな事を考えながら、宿題を進める。




……大狼君…何があったんだろ……。



でも話してくれる訳だし……そこはなぁ。


にしても、目は合わない。



やっぱり……寝顔がヒドかったのかな…?!


中学校最後の修学旅行でもみんなに言われたっけなぁ……。


ファンクラブが大狼君を追い込んだっていうのも気になるし…。




「あー、もう!考えるな私っ!」



このまま考えてどうなる訳でもないんだから!



テストに向けて勉強するしかない!



やるときは私だってやれる!




問題集を出して解こうとシャーペンを握り直してみる。



「菜美ちゃんっ、勉強会するー?」



ベランダから聞こえる声。


マジかいな……。


よし、気づかないフリ!それと、110番する用意!


これで完璧……っ!



「気づいてるんじゃないのー?開けてー」



コンコンと何度も窓をノックしている。


無視無視!





……あ、そういえば……満月の夜って……心読めるんじゃ……。



「無視しないで開けようか?そうしないと無理矢理入るよー?」



「……そ、そんなのドロボウと同じじゃないですか!」




「やっぱり無視してたんだ?」



ば、バレた……っ!


あーもう、私のバカ!返事なんてしなきゃいいのに…!
 


「…してましたけど!何の用ですか?」



「あのさ!もう一滴だけ血飲ませて!」



「嫌です!いい加減にしないと警察呼びますよ?」


ベランダの窓を開けて雨戸にして、携帯を見せる。


「そんなこと菜美ちゃんにできるの?」


「できます!このボタン押したら警察に繋がりますからね?!」


発信ボタンを指でさして言う。


「うん、知ってる」


「知ってるじゃなくて、帰って下さい!」


「やだね」


ニヤリと私の様子を伺っている。


なにが“やだね”何だろ。



「私、血飲ませる気もありませんし、一緒に勉強会する気もないですから!」



絶対に、嫌。



「あー、じゃあさ、夕飯一緒に食べるのはどう?」



「嫌です!」



「嫌かぁ?晃太が菜美ちゃんと目合わせない理由も分かったのになぁ~」