満月の夜は、ご注意ください。





「……あ、はい、一応…。」




たしかに、こうやって考えると大変な事だったなぁって思う。



「なるほどね……多分……晃太はファンクラブと何かがあったんじゃない?!」



推理ドラマのように何かを決定的に掴んだように言う。



「そんな事……」



“……それが、大狼の事を追い込んだ事もあったんだよね……。”


ハッと鈴木の言葉を思い出す。



「……あるかもしれないです…。」



「あー、それだね、多分。」



「あのっ、今日満月だからっ、大狼君の心読めないんですか?!」



「んー、オオカミ男だから分かんないけど……読んでどうするの?」



「……えっと…。」



「意外と便利じゃないんだよ、バンパイアはさぁ~」



「ですよね、やっぱりいいです……」



「どうしてもって言うなら、菜美ちゃんの血を一滴……」



「嫌です!ていうか、周りから見たら木戸先輩は変態ですよ?!」



「あ、家ついた……」



私の話は無視ですか!!


顔を上げてみると、アパートの目の前。



「……とにかく!血は一滴たりともあげませんからっ!」


「いいじゃん、一滴!」



手を合わせてお願いしてくる。


必死すぎる……。



「吸血とか、されたくないんです!後が残りそうじゃないですか!」


「じゃあー、ケガしてる所無い?」


「教えませんけど……吸血は……」


「どこ、教えてよ」



透き通った瞳が私の目のずっとずっと奥まで見つめている。



「何で教えなくちゃいけないんですか!」



そう言って、目を逸らした瞬間……



「いいから、教えなかったら首から吸血するよ?」



木戸先輩の、いつもとは違う雰囲気の声。


吐息が私の首筋に触れてる。



もう、しかた……ない……



「………左の……手の甲です……」


そう言ったのと同時に私の左の手の甲に口づけた。



「……っぷはっ、ありがとっ!」



さっきとは違う明るい声。


唇の下に、血がついてる。



その光景が、



“吸血された”



という事実を私に見せつける。



「木戸先輩……威圧は……ヒドいです……」


「まぁまぁ、代わりに……読めるか試してあげるよ!」


「えっ、あ、ありがとうございます!」



……こっちの条件ものんでくれるのか…



「……あ、菜美ちゃんの血…美味しかった…また吸血しに来るかもね……!」



ニコニコと笑顔を見せた後、階段を駆け上がっていった。