先生が何かを熱心に説明しているけど、
そんなの全く聞かないで、ノートにシャーペンを滑らせる。
ぎっしり書いているのは、作戦。
こんなときどうするとか、そんな簡単なもの。
体育倉庫で暴力の問題なら、
ボールを使えばなんとかなる気がする。
とりあえず、素手じゃ適わない事は確か。
その場所をどう工夫して挑むか。
……なんて、専門家みたいな言葉を並べてみても、この通りになるのは難しい。
どうするのが一番いいのか…。
「……菜美、もう放課後だよ…。」
「えっ?!」
いつのまにか、クラスの大勢がいない。
廊下はガヤガヤしてる。
放課後……早いな……。
「やっぱり無理して……」
「無理してないよ!行ってくる!」
心配そうな実梨を置いて走っていく。
廊下に出ると、たまたま大狼君が居た。
すると、ふいに目が合った。
けど、なんかちゃんと見れなくて、
目をそらして走っていった。
私、感じ悪いな……。
そんなすごく小さな後悔を抱えて、体育倉庫に入る。
すると、跳び箱の上にあぐらをかいて座っている人影が見える。
……誰…?
あ、まさか……。
「あ、来たか。」
男っぽい声。
多分……実梨の言ってたファンクラブの会長なんだと思う。
……ノートにまとめたから大丈夫…。
作戦は立ててある…。
それに、秘策の目潰しだってある…!
「篠崎菜美……だったよな?」
跳び箱を降りて、目の前に現れる。
顔つきは、ちょっと怖いかも……。
「なぁ、そうだよな?」
「…あなたの事怖くなんて無いですから!」
会長…と思われる人は、何かを思い出したかのようにピクッとした後、口を開いた。
「…あー、えっと、俺……さぁ……」
「大狼君のファンクラブの会長ですよね?!」
「……うわぁ…まじか……。」
「そんなのに騙されませんから!」
「騙され……?」
とぼけ顔をした。
「私の事潰すんですよね?!」
「潰す……?」
ボケーッとした表情。
なんとなくイラつく…。
「とぼけないで下さい!こっちだって準備ぐらい……っ!」
「ちょっと黙れ!」
焦りを感じたみたいで、怖い顔がなんだか和らぐ。
「……なんでですか…?」
「多分…篠崎さん、勘違いしてる!」
「な、何が勘違いなんですか!」
勘違いとか言って……
「……篠崎さんの事、潰す……とかしないから!」

