満月の夜は、ご注意ください。




「菜美ちゃーん?どうかしたの?」


「えっ、どうもしてないですよ?!」


「何かあったら言ってねー?」



心配そうに聞いてくる。



「あっ、はい!」




……木戸先輩って何なんだ…。


あ、チャラいだけか…。




「風呼ーっ、今のどうだった?」


「良かったよ~?」


「じゃあ今日一緒に……」


「練習あと少しだから頑張って~」




どんっと園田先輩を押した海崎先輩。


実は、この2人付き合ってるんです。


園田先輩が一目惚れだったとか……。


そのあと一途な園田先輩を好きになり……。


そして2人は付き合うことになったそうで……。


うわ、なんだろ……


ニヤニヤが止まらない……!





「な、菜美ちゃん?」


「は、は、はいっ、なんでしょう?!」


「ニヤニヤしてたね~、何かあったの?」




海崎先輩までニヤニヤし始めた……。




「し、してないですよっ?!」


「そうかなぁ~?」




な、何とか話を逸らして……。




「あ、海崎先輩っ、幸せそうですねっ!」


「えっ?!そ、そんなことないよっ?!」




なんだか焦り気味に答えてる。




「幸せオーラが出てますよ~?」


「も、もう!何の事っ?!」




顔を真っ赤にしてホイッスルを手にとって



「みんなー、練習おわりー!」



体育館中に軽快な音が鳴り響く。



「次はゲーム式でやるから、それまで休憩してねー!」




それと同時に蒸し蒸しとした空気を漂わせた部員達が、涼しい場所を求めて動き始める。




水道へ向かって走っていく部員もいる。




なんか……ヒマだなぁ……。




やることがないか、周りを見渡してみる。




あ……ボールが散らかってる…。




これからゲーム式って言ってたし、ボールは1個で足りるかな…。




じゃあ他のボール片付けよ…。




2つ、3つボールを持って、部室のカゴに入れに行く。




ボールを持ってるせいか、部室までの階段の1段1段がキツい。




やっと部室の前に着いた……けど、




入口が狭くて、ボールを置いてからじゃないと片付けられない。




結構大変だな……。





時計を見ると、あと少しでゲーム式の練習が始まってしまう。




急いでボールを拾い上げて部室まで運ぶ。





そして何往復したか分からないけど、




残りのボールは……4個……。




一気に持ってけば終わるかな……。




よいしょ、というようにボールを抱える。




目の前も足元も見えないくらいの大きさ。




さすがに4個はやりすぎたかな……。



まぁ、いっか!



1歩進むごとにボールが揺れる。



今にもバランスを崩して落ちてしまいそうなくらいの不安定さ。



どんどん進まないと終わんない……



急ぎ足で階段を登っていくと、




ボールが足元に散らかってしまった。


落としちゃったのか……。


1つ1つ拾い上げて進もうとしたその時、







グラッと、後ろへ落ちていくような感覚。



足が、浮いてる。


さっきまでいた場所にはボール。


多分、つまずいたんだ……。




なんでこんなに、冷静なのかな……。




このまま、落ちていくのかな……。




私………どうなっちゃうのかな……。






もしかして…………。









私は、ぎゅっと目を瞑った。





頭を打って血が流れちゃうのかな……。



意識が無くなっちゃうのかな……。





誰か………助けて………


















……なんでだろう、落ちたはずなのに。





痛みを全く感じない。




なんか、柔らかい。






誰が……………。






ゆっくりと目を開けてみると、










横から、木戸先輩が覗いていて、






多分、柔らかいのは目の前の人の足…?





ゆっくりと視線を変えてみる。





仰向けに倒れた私の目の前には………








大狼君がいた。