その声と同時に木戸さんと満月が重なった。


それをボーッと見ていた。


すると、大きな手が私の口を覆う。


………はい?!



「ねぇ、この町の言い伝え知ってる?」


言い伝え………。


あぁ、オオカミ男とバンパイアのこと?


信じてはないけど、頷いてみる。



「もしかして……信じてる?」



木戸さんの八重歯が伸びている気がする。


怖っ!


え、なに、ドッキリ?!



微妙に息ができなくて苦しい……!


もがくように首を振る。



すると、大きな手が離れて



木戸さんの頭は首にあった。



「なっ、なにしてるんですかっ!」


私は力いっぱいに引き離す。


木戸さんはあと1センチで息が触れてしまうぐらいの距離で



「その、言い伝え本当なんだよね…」



そう言って、八重歯を見せて笑った。



「はい………?」



そのあと、私の首筋には


あの八重歯が触れていた。




「俺、バンパイアだから。」