ヒソヒソとしてる廊下の女子達。
もしかして……。
や、気のせいだよね……。
教室のドアに手をかけようとした時、
「あっ、菜美っ!ちょっといい?!」
飛び出して来たのは、実梨。
いきなり、私の肩を掴んでくる。
「え、いいけど……どうしたの?」
「聞かれたらマズいから……こっち!」
周りをキョロキョロとした後、私の手を引いて食堂に着いた。
そんなにマズいの?!
「み、実梨…?どうしたの…?」
「……菜美…ちゃんと聞いてね……。」
真剣な表情、落ち着いた口調。
どれだけ、大事な話かよく分かる。
そして、ゆっくりと実梨の口が開く。
「菜美……大狼君のファンクラブに目付けられてるよ…。」
「え………。」
驚きを隠せない。
でも、心当たりが無いという訳でもない。
朝、いっぱいの人が見てたし、
廊下でも、ヒソヒソしてたし、
なんとなく、考えたくなかっただけ…。
「ところでさぁ、菜美って大狼君の事好きなの?!」
小声、といえばそうなんだけど、
すごく興味津々に聞いてくる。
でも………。
「……好きじゃないよ…」
そう、好きじゃない。
だからといって、嫌いでもない。
でも、好きになればあの気持ちになる。
会いたいのに、会えなくて、
すごく、苦しい気持ち。
すごく、愛おしく思える気持ち。
だから、“好き”なんて言葉は、
きっときっと
この先、一度も持たない。
いや、一度も、持てないんだ。

