満月の夜は、ご注意ください。





「はい、じゃ、行くぞー」



そう言って座り込んでる私を引っ張る。


けど………。



「え、早く立てよ?」



「ご、ごめん……腰…抜けちゃってて……。」



はい、そうです。 



まだ腰は抜けてるので…。






そんな私を呆れたような笑顔で見ながら、



「あー、もう、めんどくさいなぁ……」



そう言って私に背を向けてしゃがむ。
 

んん?!



「な……なにやってんの?!」



「腰抜けてんだろ、早く乗れよ」



「いや、そ、それはさすがに……。」



「じゃあ菜美の事置いてくからな?」



フフン、と得意気に笑うように言う。



置いてかれるのだけは………っ



「なんてな!そんなことしないから!」



「………え?」



「透先輩じゃねーもん、しないからな!」



微かに光がかかってるせいか、白い歯がよく見える。


……透先輩…?…あ、木戸……先輩の事か。



「少しぐらいは歩けるか?」



ひょいと軽く私を持ち上げる。



え、力……強くない?



やっぱり………男の子なんだなぁ…。



なんて思っていると、



「わっ……!」



ふいに腰が抜ける。



そしてまた床に座り込む。



「ごめん、ちょっとだけガマンしろ!」



その声が聞こえた瞬間、



グワンというように視界が変わる。



何かに乗っているような感覚。



低い視線がどんどんと高くなっていく。



自分で歩いてないのに、前に進んでる。



ゆらゆらと横にも揺れてる。



いつのまにか、手が誰かの肩を掴んでる。



前には、ツンツンとした髪の毛。



もしかして、もしかすると




おんぶされてる………?!