部室に入ってみると、ぐっちゃぐちゃに散らかってる。


そしておまけに蒸し蒸ししてる。


地獄だよ……。


ボールを片付けながら、


「き、木戸さんって本当にバスケ部………」


「木戸先輩、って言うんだよね?」



ニヤニヤと笑みを浮かべてくる。



「……木戸先輩ってバスケ部なんですか?」



なんでニヤニヤしてんの。



「そう!一応レギュラーだしっ!」



ニコッと笑ってピースしてる。

へぇー、レギュラー。

すごいなぁ………。



「でも、晃太もバスケ部のレギュラーじゃん!」



晃太………あ、大狼君のことか。


え?



「え…大狼君、バスケ部なんですか?!」


「えっ?!知らなかった?!」


「そうですよ!あんまり居ないじゃないですかっ!」


たしかに、居ない。


レギュラーって事は試合出てる………?


あ、もしかして………


3番の背番号の人か!!


似てると思ってたんだよね…。



「学級委員長の仕事が忙しいってさ~!」



「あー……な、なるほどっ!」



学級委員長って大変なんだなぁ……。



「ねぇ菜美ちゃん、ハンバーグ食べたい」



キラキラした目で見てくる。



「え、どうしたんですか、いきなり。」



「今日も遊びに行っていい?」



「え、イヤです。」



イヤ、というか、ダメ。



「なんでイヤなのー?美味しかったよ?」



そういう問題じゃなくて………


友達の好きな人を家にいれるとか……っ



絶対ムリ!



「えっと………そ、それは………そのっ!」



“実梨が先輩の事好きだから邪魔したくないんです!”


なんてバラしてるようなもんだし……!



「きょ、今日はオムライスの気分だからなんですっ!」



とりあえず、オムライスが頭に浮かんだから言ってみる。



「あ、じゃあオムライス食べ行く!」



「来ないで下さい!」



「えー……。」



ケチ、とでも言いたそうにチラチラと見てくる。


それを無視して、ほうきで土を掃いていると


もう部室は結構キレイになっていた。