満月の夜は、ご注意ください。




「菜美?どうしたの?」


「えっ、な、何が?!」


「ボーッとしすぎだよー……?」


「そうかな、ごめん……。」



あれから何時間がたって、お昼休み。


なんだか、木戸さんは予想通りのチャラ男だな……。とか。


恐怖をかき立てるような表情だったとか。


なんでビンタしちゃったんだろ、とか。


これから、どうなるんだろ、とか。


ただ同じアパートなだけの私達だから、


これから、なんてないんだろうな、とか。


そんなことばっか考えてる。



「菜美ーっ!」


教室の入り口からする声で我に返る。


クラスではどよめきが起こってる。


私の名前を呼ぶのは………誰?


「ちょっと、菜美聞いてんの?!

大狼君が呼んでるよっ!」


………え?


振り向いてみると、確かにいた。


小走りで大狼君に駆け寄る。


「どうしたの?」


「あのさ、明日から一緒に学校行かね?」


「……はい?」


「今日迷ってさ、慣れるまで……な?」


手を合わせてお願いしてくる。


廊下の人たちもみんな見てる。


あー、もう!


「分かったから、じゃあね!」


とりあえず返事だけして、席に戻る。


遠くからでも分かるくらいに大狼君は嬉しそうな顔をしてた。



「……菜美ぃ?もしかしてぇ……?」


ニヤニヤしながら実梨が迫ってくる。


「な、なんでもないって!」


「学校の王子様と会話しちゃってぇー!」


「お……王子様?」


「そうだよ!ちなみに、木戸先輩はアイドルだよ!」


「ふーん……。」



大狼君は王子様ってピッタリだな!


だけど、

木戸さんがアイドルなんてありえない。


ただの女好きのチャラチャラした奴が?


あんなの、騙しじゃん……。


アイドルスマイルみたいなの振りまいて?


女の子の事は、遊び道具とか言って?


最低だよ…。