満月の夜は、ご注意ください。




や、ヤバい………ビンタしちゃったよ……!


とりあえず………謝んないと……!



「ご、ごめんなさい……!」


「何が?」


「ビンタして………っ!」



「さっきさぁ、菜美ちゃんさ、

『彼女じゃないくせにキスしてんの?』

って言ったじゃん?」



「はい……。」



「ダメ?彼女じゃないとダメなの?」



怖くて顔が見れない………。



「だ、ダメに決まってます!」



「相手が“したい”って言うのにダメなの?」



相手がいいなら………?


私は何も言えなくなってしまった。



「それに、菜美ちゃんに関係ないよね?」



「そうですけど………っ!」



「それぐらい、俺の勝手じゃないの?」



朝のような明るさは全く見えない。


めんどくさそうな口調。


冷たい瞳が私を見下す。


怖い………痛い……。



「……あ!菜美と……木戸先輩っ!」



明るい可愛い声がする。


実梨だ……。



「あ、花井さん!ここ、はねてるよ?」



実梨の髪の毛をふわふわと触ってる。



さっきとは違うトーン。


明るく笑ってる。




怒ってるんじゃなかったの?




「わっ!あ、ありがとうございますっ!」



顔を真っ赤にして、嬉しそうな表情。


なんだか、さっきのキスシーンが頭を回ってしまう。


実梨が………。



「じゃあね、花井さんっ!」



にっこりと笑った木戸さんは、



私の名前は呼ばずに帰って行った。