“菜美ちゃん”とよく呼ぶのは、木戸先輩だけど、その声じゃない。
えっとー………
「そ、園田先輩っ!」
思ったより思い出すのに時間がかかった。
「部活………どうした?」
優しそうだけど、怒ったような笑顔………。
と、とりあえず!!
「あのっ!い、言い訳かもですけど……体育祭の実行委員やってて………」
「そっか、それは大変だね……って、無断欠席だよねー?」
うんうん、と頷きながらもハッキリと言う。
「は、はいっ………すいません……」
深く、園田先輩に向かって頭を下げた。
「すいません、俺がすぐ終わると思ってて……」
「よし、じゃあ2人には体育祭の借り物競走に出てもらおっかな!」
大狼君の言葉に被せて、園田先輩は両手をポンッと叩いた。
「借り物競走………ですか?」
えーと、借り物競走だよね?
一般の知識からした借り物競走だよね?
「そうそう!各部活から2人ずつでさ、罰ゲームみたいな感じで……」
「ば、罰ゲーム………?!」
驚きのあまり、声が裏がえってしまった。
罰ゲーム?!
「去年ね、透がさぁ~……あはは…っ」
去年を思い出すように、園田先輩がお腹を抱えて笑っている。
え、そんなにすごい罰ゲームなの……?!
「園田君!あ、菜美ちゃん!大狼君!」
可愛い声で、海崎先輩が遠くから走ってきた。
「あっ、海崎先輩っ!」
「風呼、どうした?」
お、呼び捨て!!
って、前からだ!
「ちょっと、園田君っ!……勝手にいなくなんないでよ~……!」
ペシペシと軽く園田先輩を叩いている。
………か、可愛い。
「……ん、ごめん……。」
それに園田先輩は顔を赤くしている。
………可愛いって思ったのかな…!
で、それを見て顔を赤くする海崎先輩……。
可愛いカップルだなぁ…。
「……で!どうしたんだ?!」
「あ、そうそう!私ね、先生から2人が実行委員で遅れるって聞いてたの!」
「そうなのか?!ごめんなー……」
申し訳なさそうに園田先輩が言った。
て、ことは?
「え、あ、大丈夫なんで……借り物競走はナシに………」
借り物競走やらなくてもいいかな?!
「ちょっと!園田君、借り物競走やらせようとしてたの?!」
「え、うん」
海崎先輩が驚いたように聞く。
それに目をまんまるくしている園田先輩。
ナシになるかな……!
「……それ、2人が出るの見たい~!」
「え?!」
海崎先輩が目をキラキラさせて言う。
借り物競走……。
「ね、菜美ちゃんっ2人でやって!」
「え、えぇ…」
「菜美、どうする?」
戸惑う私の顔を大狼君が覗く。
それにも心臓がドキドキしてる。
「お、大狼君は?」
「菜美がやるならやるけど……」
私が………やるなら?!
「じゃ、じゃあっ、やろ!」
私の声に先輩達が、よろしく、と言って帰って行った。
大狼君が一緒なら……楽しそうだな……。

