「あっ、篠崎ちゃん!!」
後ろからの明るい元気な声。
この子は、山田 花 【YAMADA HANA】
クラスメートで、元気。
大狼君のファンで、サッパリした性格。
「………篠崎ちゃん元気ないね?!」
「そうかなぁ?!元気だよ!」
「まさか………ケンカ?!」
ビクッ………!!
「わー、やっぱ?誰と?!」
「……実梨と…。」
ズキッとする。胸が痛い。
「そっか……、謝るの?」
「うん、謝る…。」
原因は私だもん。
「………あ、実梨ちゃんだよ…」
教室の中を指さして花ちゃんが言った。
「なんで1人でいるんだろ………?」
いつも、みんなから人気なのに……。
「………篠崎ちゃんが居ないと、あんな感じなんじゃないかな……。」
「え?」
私がいないと?
「あ、ほら、実梨ちゃんって人気だけどさ、なんていうか……静かじゃん?」
静か?!
ずっとしゃべってるのに?!
「え、おしゃべりじゃない?!」
「篠崎ちゃんが居ないときとかは、2人の時みたいに明るくないよ……」
寂しそうに花ちゃんは微笑んだ。
「そうなの………?」
「今も、篠崎ちゃんと話せなくて寂しいんじゃないかな……。」
トンッと私の背中を押した。
「………とりあえず、行ってみるよ…。」
ドクドクいってる心臓を押さえて
ロボットみたいな歩き方になってる私。
気がつくと、実梨の目の前。
「………み、み、実梨っ」
緊張しすぎて、何回もどもる。
「……な、菜美……。私とじゃなくて、花ちゃんと話してきなよ。」
一瞬、笑ったような気がしたけど、フッとその表情は消えていた。
………なにこれ、
あー、もう!!!
「私が何かしたんなら謝る……!」
怖いけど、その瞳を見つめた。
そして
頭を勢いよく下げた。
「……っ、来て!!」
いきなり手首を掴まれて、人混みの廊下を走っていく。
着いたのは、裏庭の、ペンキのハゲたベンチ。
「どうしたの、こんな所まで………。」
「………菜美は悪くないの…!」
「え………」
私が、悪くないって?!
「………私、菜美に嫉妬してた…」
俯いて小さな声で言った。
「嫉妬………?」
「…先輩と仲良くて、下の名前で呼ばれてるし………っ」
たしかに、先輩は私を
“菜美ちゃん”
そう呼んでる………かも。
「ただ、私が嫉妬してただけ………っ」
そんな、実梨が悪いわけじゃないよ……
「私、菜美が居ないとダメなの………!」
涙を流して、私に抱きついた。
「ごめんね、実梨……」
私も抱きしめ返した。
気がついた時には、涙がこぼれていた。
「こっちが、ごめんねだよ!菜美は謝んないでいいの!」
「…………実梨ぃ…」
「菜美…っ」
2人そろって涙を拭いて、安心したように笑い、顔を見合わせて、また笑った。

