【菜美side】
自動販売機………っと……
飲み物、飲み物………
あれ?!
もしかして………大狼君?
ちょっと遠いけど…………い、行こ……!
「………お、大狼君っ!」
声をかけると、大狼君はビクッとした。
………どうしたんだろ。
まぁ、いっか。
「………あ、菜美…」
ジュースを買おうと隣の自動販売機に並ぶ。
「実梨は?一緒じゃないの?」
「どっか行った!透先輩は?」
炭酸のジュースを飲みながら聞いてくる。
「あー……なんか具合悪いみたいで……」
「そっか………」
謎の沈黙………。
あああ……どうしよ………。
沈黙とか耐えられないんだけど………
「「あのさっ!!」」
たまたま声が重なって、お互いに驚いている。
「あっ、いいよ、大狼君から……っ」
「あ、うん、ありがと………」
ペットボトルのキャップを締めて、真剣な瞳が私を見つめる。
ドキンと心臓が音を立てる。
「………菜美って、透先輩と付き合ってんの?」
…………付き合ってる?
「………え?なんで………?」
「ごめん、さっき見た………。」
さっき?
もしかして………
抱き締められたみたいなやつ?
でも、あれは具合が悪くて倒れそうになっただけじゃなくて………?
「あ、あ、あのねっ、あれは………っ」
「菜美ちゃん!」
説明しようとした瞬間、木戸先輩が走って私たちの目の前に来た。
「あっ、木戸先輩っ!具合は……」
「大丈夫だよ、ありがとう」
ニッコリとして、私の頭をポンポンとした。
………はい?!
「えっ、ちょっ、せ、先輩ってば!」
「晃太、ちょっと菜美ちゃん連れてっていい?」
「………な、何で俺に聞くんですか……?」
「だって、ムッとしてるし……。」
「し、してないです!」
「じゃ………」
そう言って、私の手首を掴んで歩き出そうとした。
「あ、透先輩……ひとつだけ聞いてもいいですか?」
その声に、先輩は足を止める。
「んー?」
「先輩と菜美って……付き合ってるんですか?」
先輩は、少し考えた後、ゆっくりと口を開いた。
「そうだよ」