満月の夜は、ご注意ください。





「え、何が?」





冷たい汗が、首筋をつたってる。



せめてできるとしても、知らないフリ。





「今…… “喜べるわけない” って………」





………バッチリ聞こえてたみたいだ。





「言ってないよ?」 




ここで理由を話せば混乱させるだけで。



もう少ししてから………。





「で、ですよね!先輩は応援してくれるんですもんね!ごめんなさい!」




ニッコリと、申し訳なさそうな口調で言う君の向こうには、





「………晃太だ。」






「先輩ってば、そんなウソには……」


 

そう言いつつも、俺の視線をたどって振り向いた。




「本当だよ」




君の背中を見ているだけでも、喜んでるのなんか分かる。




「………でも、私……行った方がいいですか?それとも行かない方が……?」




笑顔を俺に向けて、聞いてくる。



………行きたいんだよね。





でも。




「……………でよ…」





「……はい…?」





“行っておいでよ”




そうやって、脳は口に命令した。






はずだった。







でも。







「……………行かないでよ……」






口は、言うことなんか聞こうとしない。





………でも、本心。





行かないでほしい。









……………どこにも。







「……せんぱ………」





驚いたような瞳に、体は動いて


心臓は大きな音を立てて






俺は、君を強く抱きしめてた。