「……はい?」
えーと、オオカミ男?
いや、違う違う!
幻聴!
「俺、オオカミ男……。」
「ええええ?!」
「……ごめん」
待って、待って!
オオカミ男……大狼君………?!
なんだろ………?
なんか…………なんかね?
「か、可愛い…………」
ぴょこぴょこしてる耳、触り心地の良さそうな尻尾………。
マンガで読んだことしかない生き物が……
今…………目の前にいるんだよ……?!
「あのー……怖くないの?」
おそるおそる聞いてるのが分かるくらいの上目遣い。
なんだか潤んでる。
「全然!可愛いし!」
そう言ったときに、尻尾が勢いよく左右に振れた。
へぇ……喜んでるのかぁ……。
「………そっか…。」
ゆっくりと立ち上がって言った。
そして、満月を見た後に耳と尻尾はどこかへ消えた。
「あ!男に可愛いはダメだからな!」
そう言って笑った後、階段を降りて行った。
私はバイバイ、と手を振った。
高校だったら関わらないんだろうな。
………たぶん。