「………我慢しなくていいんじゃないの?」
「……え…?」
自分自身、言葉を発していた事に驚いた。
でも、少しぐらい。
ほんの少しぐらい、楽になってほしくて。
「泣きたかったら、泣けばいいんじゃないの?」
そんな事を、言ってしまった。
使ったこともない、言葉。
「私………そんなに泣きませんって……」
そう言って微笑んだけど、
潤んだ瞳の奥から、じわりと涙がこぼれ落ちた。
「………ほら、ね?」
俺が言うと、菜美ちゃんの瞳からは、とめどなく涙がボタボタと落ちた。
「………っ…ひっく……うぅ……っ」
小さな肩を震わせて泣く君を、
抱きしめようと体が動きそうで
頭を撫でようと手が君に伸びそうで
でも、それは君を困らせてしまうから。
そっと、動きそうな体を
そっと、君に伸びそうな手を
ゆっくりと降ろして。
空色のベンチに座らせて。
落ち着くまで、ずっと隣で君を見てた。
泣かせてごめん。
泣かせた俺が悪いのに。
君が、誰よりも笑顔でいてくれたら。
晃太が、君を笑顔にしてくれるなら。
俺は君を、あきらめようと思うんだ。
でも、本当は
俺が君を笑顔にしたい。

