満月の夜は、ご注意ください。






外はオレンジ色に染まっていて、カラスがカァカァと鳴いている。



そろそろ部活も終わりか~……



部室でボールを片づけていると、体育館の裏に人影が見えた。



………誰だ……?



片づけをサボっているのがバレないように、そっと体育館裏へ向かう。



………何やってたんだ……?



こっそりと覗いてみると、うずくまっている女の子がいた。


体育座りをして、顔をうずめている。




………あの髪型、あのジャージ。



あれは他の誰でもない、菜美ちゃんだ。




うずくまってるって事は、声はかけない方がいいか……。



というか、その前に。



何でうずくまってるんだ?



………さっきの、俺の事か?



戻ろうと振り向いた時に、そこにあったバケツを蹴ってしまった。



結構、大きい音がした。




「……っ!だ……誰か………いるの………っ?」




菜美ちゃんは、顔を上げて周りを見渡した。



………さすがにここで、逃げるのは無理……。



「あ……木戸先輩ですか………」



声が震えている。


………なんでだ…?



「……うん、ごめん、じゃあね……」



そう言って、体育館へ戻ろうとした……



「あのっ、何で……謝るんですか……っ?」



寂しそうな声で、俺を呼び止めた。


何でかって………?



「え……だって、悪いことしたじゃん……」



「でも……あれは事故っていうか…っ」



体育座りをして膝に顔を乗せて言う。


……事故…?


………でも……。



「事故とはいえ、晃太の目の前だよ?それで、菜美ちゃんは………」





「でも…私……助けてくれて嬉しかったですよ……?」




辛いはずなのに、笑顔を見せて、俺にそう言った。




「………菜美…ちゃん……?」



「助けてくれたのに、謝らないで下さいよ……っ!」



ゆっくりと立ち上がって、俺の目の前に立って、微笑んでる。




「でも、それのせいで……菜美ちゃんは傷ついてるんじゃないの……?」



本当は、


“助けてくれて嬉しかった”


その一言に喜びで胸がいっぱいだった。



だけど、笑顔には悲しみが見えた。




「私は……大丈夫ですよ……っ」



今にも、涙がこぼれそうなのに?



「………泣きそうだよ…?大丈夫なわけ……」



「こんなの、楽勝ですよっ!……大狼君の昔の事と比べたら………っ」




菜美ちゃんの右手の握りこぶしに力が入っているのが見えた。


それに、下唇を噛んで、涙を堪えようとしてる…。



………晃太と菜美ちゃんは違うじゃん。



なんで、そんなに我慢する?