………やだ……っ
違うのに………っ
付き合ってなんかないのに………っ
私が好きなのは………大狼君なのに………っ
そんな笑顔で見ないでよ……。
「本当に付き合ってないし、菜美ちゃんが困るし!ほら、練習!」
きっと、誰が見ても分かるぐらいの暗い表情をしていたんだと思う。
それに気づいて木戸先輩は、注目を避けてくれた。
その一言で、色々な事を口々に言いながら練習にみんなが戻っていく。
木戸先輩は練習に戻る前に、私にしか聞こえない小さな声で
「晃太じゃなくて、ごめんな。」
そう言って、儚げに笑って走っていった。