周りはみんな、こっちをガン見している。
もちろん、大狼君も……。
「………わっ、ごめんっ、えっと……っ」
私の視線に気づいてか、木戸先輩は焦り気味に私を離した。
顔が赤いような?
……暑さのせいでね…。
「あの……ありがとうございます……っ」
「………ケガは無い?」
「はい…………っ」
「なら………良かった………。」
そう言って、私の頭をくしゃくしゃと撫でて微笑んだ。
「おいっ、お前らっ!何見せつけてくれちゃってんだよっ!!」
園田先輩が大声で言ってくる。
……え、見せつけ?!
何が?!
「もー、菜美ちゃんってば、やっぱり付き合ってるんじゃん~っ!」
海崎先輩まで………?!
付き合ってる?!
あ、ありえない!!
「付き合ってなんか……っ!」
「ほらほらー、いっつも思ってたもん!」
「園田っ、海崎さんっ、付き合ってないから!」
木戸先輩も全力で否定してる。
ここで、大狼君に誤解が起きないといいんだけど………
不安を押し殺せずに、大狼君をチラッと見ると………。
………笑顔で祝福しているように拍手をしていた。