満月の夜は、ご注意ください。




「………じゃあ、ここだけの話。」



周りをキョロキョロした後、ゆっくりと口を開いた。



「………前、付き合ってた彼女に似てるんだよ……。」



………似てる…?



私が?




「まぁ、結構仲も良くて……ずっと一緒に居るって思ってた。」



大狼君の顔はどんどんと俯いていく。



「ファンクラブが、傷つけたのに、そんなの笑ってた。」



嘘の笑顔で話してる。



なんで………無理して笑うの……?




「………なのに、満月の夜にオオカミ男になった俺を見て、避けるようになった。」




大狼君は悲しそうな表情を浮かべてる。




「怖かったんだ。……それから、話もしなくなって、別れた。」



ひとつひとつ、話していくうちに、大狼君の声は震えていく。



「そしてさ、別れた場所から帰る途中に、事故に遭った。」



なんだか、私の心臓に、針が刺さったみたいに、チクチクする。




「なんとか、右足の骨折だけで済んだ。命に別状は無いって。」



………大狼君……目が潤んでる。


そんなに苦しい事なのに………っ



「お見舞いに行ったとき、俺のことを見て、“化け物”そう言って泣いてた。」



………私は……化け物なんて言わないよ……



「まぁ、そうだよな。オオカミ男なんて、化け物そのものだし。」



ハハって笑ってるけど、笑顔がひきつってるよ?



「でも、菜美は全然怖がんなかった。なんか、“可愛い”まで言ってた。」


照れくさそうに笑う。


………これは、本心なの?



ホッとしたの…?



「俺、オオカミ男になっちゃった時……終わったと思った。」



「……終わった…?」



「………怖がられると思ったから……。」 







「でも、怖がんなかった。嬉しかった。」



ニッコリとした笑顔が私を見てる。


でも、思い出させちゃった……。



「………そっか……。ごめんね、聞いちゃって……。」



「菜美は悪くないよ、あの人と重ねて見ちゃった俺が悪いんだよ……。」



「でも……、その人の事…大切に思ってたって事だよね……!」



「大切だった。でも、新しい大切な人を探すつもりだから……!」



大切な……人……。



私は、その大切な人になれる?



「………うん、頑張れ…」



「……おう!」